01年宝塚記念。
宿敵と呼ぶには、実績に差がつき過ぎた。
だが、俺には “1年間、覇王以外に負けていない” という、蹄跡があった。
そして俺は、“覇王が俺以外に負ける” ことを認められない。
蒸し暑かった、あの日。
今思えば、挑戦者の執念が実るには、最も相応しい日だった。
Logokeiba Portfolio
「競馬をもっとカッコよく。」
名馬の名前をモチーフとしたロゴデザインで、彼ら、彼女らの勝利を讃えます。
三冠馬vs三冠馬、人気vs実力、マイル王vs短距離王‥など、名馬同士の激突や、様々な壁を超えて挑んだ[vs]をロゴ化し、投稿します。
01年宝塚記念。
宿敵と呼ぶには、実績に差がつき過ぎた。
だが、俺には “1年間、覇王以外に負けていない” という、蹄跡があった。
そして俺は、“覇王が俺以外に負ける” ことを認められない。
蒸し暑かった、あの日。
今思えば、挑戦者の執念が実るには、最も相応しい日だった。
皐月賞の後に訪れた、屈辱の日々。
それでも失意の中で研鑽し、己を改新し続けた。
そして16年 安田記念。
約3年と9ヶ月ぶりの逃げを、奇策と呼ぶな。
生まれ変わった俺を見てくれ。
‥再びG1を勝利するまでに、最も連敗期間を要したのが俺だという。
それがどうした。
王座奪還、成る。
'97 日本ダービー。
逃げろ。
皐月賞馬を6番人気とした節穴たちから。
引き離せ。
先手を取る勇気がないエリートを。
粘れ。
勝負とは人気順で決まるものではないと、証明して見せろ。
1番人気はどのレースにもいる。
だが、世代の頂点は1頭だけだ。
第64代ダービー馬、サニーブライアン。
'04 NHKマイルC & 日本ダービー。
変則二冠馬、キングカメハメハ。
スピードとスタミナの両方を証明できれば、種牡馬価値が高まる…
強い信念から生まれた、松国ローテ。
その壁を初めて越えた大王。
最強馬論争に答えは無い。
だが、最強馬を論じる時、彼は欠かせない。
昨今の名馬の血統表に刻まれる、彼の名前。
それが証左だ。
97年天皇賞(春)。
マヤノトップガンvsサクラローレルvsマーベラスサンデー、3強対決。
力、闘志、想い…極限の勝負における、落穴だ。
全馬がそれらを備えているから、この舞台に立っていると云う事実を見失わせる。
1強を証明したのは、冷徹で客観的な判断。
彼は勝利の為、己の脚質さえも変える。
99年フェブラリーS、岩手競馬所属メイセイオペラ。
地方馬が中央競馬のレースに出走する際には、“交流服”と呼ばれる、特別な勝負服を着用する必要がある。
史上唯一、このルールを“地方馬による、中央G1勝利”で見せつけたのが彼だ。
きっと、こう言っただろう。
「全国の諸君、これで覚えたかい?」
97年・天皇賞(秋)。
かつて、牝馬は古馬混合G1を勝てなかった。
更に、一流3歳馬と古馬の頂上決戦と言えば、有馬記念の時代があった。
世代を越えた前年の王者・バブルガムフェロー vs 性差を超えた先駆者・エアグルーヴ。
3着以下を5馬身引き離し、この2頭だけが“未来の常識”を駆け抜けていった。
真逆の三冠馬対決。
85年天皇賞(春)シンボリルドルフvsミスターシービー。
戦況を見極めた“巧い強さ”の支持者は、戦果の価値を説いた。
自分の型に“こだわる強さ”の支持者は、敗北の美学を語った。
競馬は時に、観客自身の哲学を問うてくる。
馬に投影している、コンプレックスを見透かすように。